ぶらりのつもり。

平成生まれがよい大人を目指す道ログ

Beatlesモノラルステレオ比較③

A Hard Day's Night【1963】

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ビートルズの音源比較、3rdアルバムまで来て今回はA Hard Day's Nightです。ビートルズ初の主演映画の収録曲集ですが、れっきとしたオリジナルアルバムで、映画は観ずとも大丈夫です。めちゃいいアルバムです。というか今となっては映画は観てないけどアルバムは聴いたという人がほとんどなんじゃないでしょうか。売れっ子になり、波に乗ってるバンドの勢いが感じられる楽しいアルバムです。あと作曲数の多さで分かるようにジョンレノン色が強く、初期ジョンのボーカルにしびれることのできる曲が多くあります。映画なしで普通に完全なる満足が得られます。

とは言いつつも是非映画も観てください。ビートルズの映画はA Hard Day's Nightがダントツで1番いいです。モノクロなのも含めて最高です。売れっ子バンドになった勢いや、4人の仲の良さが滲み出ていて、観てるとニコニコを禁じ得ません。当時プレスリーの影響か「音楽で成功したら映画も」みたいな流れがあり、4人も「成功したから映画に出たかった」みたいな話を残しています。

僕はイギリスに行った時この映画のロケ地巡りをしました。印象的な映画のオープニングシーンはロンドンのマリルボン駅ですが、ここで走ってコケてみたり新聞を読んだりしました。くそ楽しかった!気になる方は映画を見てください、ほんとにおススメです。

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・急に進歩した?ステレオ録音

例によってCD音源になっている1987モノラル、2009ステレオ、2009モノラルを比較します。ちなみにAppleMusicとSpotifyにあるのは2009ステレオでした。

https://itunes.apple.com/jp/album/a-hard-days-night/401132835?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

このアルバムを聴き比べてまず1番の感想はステレオ録音の進歩です。ボーカルや楽器が妙な分離をしていない!違和感がない!ボーカルがちゃんとセンターになっているのが大きいですね。これだけでずいぶんと自然に聴かれます。僕も学生時代に音楽はやっていましたが、レコーディングなんてものはしたことがなく、ましてトラック振りなんてことにはガチ無知なのですが、どういう考えを持ってやるものなんだろう。サードアルバムでこんなに出来るなら最初からやればよいのに…とか思ってしまうくらい、ナイスな出来です。結論から言うと、2009ステレオがその勢いのまま逃げ切って僕の中では優勝です。

ちなみに4枚目のBeatles For Saleでは泣き別れみたいなことは全くありませんが、若干分離が目立つステレオになります。全然許容範囲ですが、3rdのステレオの方がよくね?といつも思っています。

 

・アナログの香りが残る1987モノラル

まずは元祖CDの1987モノラルから。ジョージマーティンがビートルズCD化の際にミックスしたもので、モノラル音源が採用されています。おそらく1番元気のあるミックスで、ボーカルがぐいぐい他を引っ張っていく印象です。なんとなく他と比べるとアナログの音像に近い気がします。音が配置してある空間は狭めですが、それと引き換えに、演奏に塊感というかパンキッシュな威力を得ています。これもいいですね。

30年も前のミックスですが、ジョージマーティンは流石だなと思います。「新しいほうがいいね!即断!」って全然ならない。

 

・おとなしめで聴きやすい2009モノラル

最も中庸かなと感じたのが新モノラルでした。適度な塊感を残しつつ、楽器1つ1つの形は1987版より分かりやすいです。音が鳴っている部屋の広さも少し広くなった感じがして聴きやすいバージョンだと思います。優等生タイプ。

ただ、ボーカルが引っ込んでいる分、なんかこもってしまったような感じもしました。なので個人的には1987が銀賞で、これは銅賞でした。

 

・自然かつ鮮やかな2009ステレオ、優勝。

ということで金賞ゴールドは2009リマスターのステレオ版でした。3rdアルバムにして新リマスター版が初優勝ですね。

まず、前述もしていますがステレオながらトラック振りが自然になりました。ボーカルやリズム隊がちゃんとセンターに寄っていて気色悪さがありません。聴きやすい!音はあざあざと鮮やかになりました。モノラルよりもかなりクリアに聴こえるようになっています。ギターの歪み方が分かるようになったのと、ボーカルにツヤもあります。曲によってはボーカルがダブルトラックになっているものがあり、それもボーカルのツヤっぽさに拍車をかけています。If I FeelとかTell Me Whyあたりが分かりやすいです。

音のクリアさが味方して、A Hard Day's Nightの冒頭1発目のジャーン!は最高ですね。音楽界の和音1発ランキングで目の覚める1撃の上位であること間違いなし。この和音を再現したいというファンは多くいるはずで、イギリスの大学が調査論文を発表したという話までいつものサイトには書いてありました。僕はまだ読んでないですが。Tell Me Whyのジョンのボーカルも鼓膜の全部を使って聴いてください。あの曲のメロのジョンの声の色っぽさったらないと僕は思っています。「If you don’t really can’t go on〜」の部分、ジョンの声が少しだけしゃがれる瞬間に自分の脳から快楽物質が出るのを感じるのですが、そんなファンは多いんじゃないでしょうか。You Can’t Do Thatのリズムギターも少し当たった音がファンキーでカッコ良いです。ジャッキリと聞こえてきてよい感じです。ちなみにこの曲はシュープリームスがカバーしているのですが、「モータウンでやったらこうなるよね!」という期待の、ど真ん中をいくソウルフルな仕上がりで最高です。

 

あと1987CDに馴染んできた方々は、これもステレオを聴くと面白いと思います。モノラルとミックス違いなものがちょいちょいあります。I Should Have Known Betterのイントロハーモニカは微妙に違いますし、If I Feelの入りはステレオにはボーカルのトラッキングズレがあります。詳しくはこちらのサイト大先生に依りますので、興味があれば旧版CD かモノボックスを探してみてください。https://beatlesdata.info/alternate.html

 

・「1」収録のステレオバージョンについて

2015年にリマスターされた「1」にもこのアルバムから2曲、Can’t Buy Me LoveとA Hard Days Nightがエントリーされていますが、サブスク音源にもあるので聴いてみてください。めっちゃ鮮やかです。「これ2015年にレコーディングしたの?」って感じです。ギターソロとかすごくよいです。とりあえずの1枚的位置付けであるベストアルバムがこの音質だなんてすごいと思います。昔はこうではなかったのですから。僕も子供がもしできたら、言語を理解するより前からこれを勧めたいです。もちろん「1」を聴いたら各アルバムも聴いてね!としつこく言いながら。

 

次は「クリスマス商戦に向けて作られたアルバム」という情報を昔に読んだだけなのに、僕はクリスマスになる度に聴きたくなるBeatles For Saleを書きます。

沖縄のホエールウォッチングが凄まじかった話

3度目の沖縄旅行②

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この前の続きで、2月末に行った沖縄旅行の話です。

・day2 メインイベントのホエールウォッチング

「2月に沖縄に行こう」と決めた時に、何をするか考えて最初にこれがしたい!となったのがホエールウォッチングでした。きっかけとしては「沖縄 冬 遊び」でググっただけですが、2月の沖縄は遭遇率ほぼ100%と聞いてめっちゃ乗り気でした。だってクジラなんて見たことないじゃないですか。水族館にもいないし。あと船で海に出るのも、それだけで楽しそうだなと思いました。調べてみると泊まるホテルから朝からツアーの設定があり、時間もぴったり。こんなん行くしかないやん。そんな感じで僕たちはあんまり深く考えずにツアーに申し込み、僕は普段は持たない300mmの望遠レンズを荷物に入れてワクワクしていたのでした。

 

・激烈な船酔いと船酔いと船酔い

クライマックスから書きますが、冬の沖縄の海はまぁまぁ波が高く、船酔いへの覚悟と万全な対策が必要です。クジラはちゃんと見られましたが、それよりも行き道と帰り道の印象が強すぎました。ちょっと乗り物に強いくらいの人でも打ち負かされてしまうでしょうし、苦手な人は大人しくやめておいたほうが無難です。これはシリアスな三半規管強度試験です。早く陸に帰りたいと願いながら2時間を屍として過ごすのは時間の無駄です。クジラが現れても動けずに、むしろそれどころではないと船室に転がっている人も多くいました。僕は幸運にも生き残りましたが、朝ごはんをあとちょっと多く食べていたらやられていたと思います。紙一重で助かったという感じでした。

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僕たちが海に出た日は晴れでしたが、波の高さは2〜3m。そこまで乗り物に強くない妻を心配して事前に船の大きさを聞き、60人乗りと聞いて安心していたのですが、いざ目の前にするとけっこう小さい…。そういや船のスケール感なんて知らないですね。案の定、沖に出たら船から体が浮いたり飛んだりする揺れは当たり前でした。そんな中を船はギャンギャン飛ばします。広い海でクジラを探すのですから気持ちは分かりますが、とにかくめっちゃ飛ばします。最初はきゃーきゃー喜んでいた我々観光客ですが、15分もすれば静かになり、30分後にはエチケット袋が大盛況でした。

出航前の説明タイムにスタッフのお兄さんが「エチケット袋ならたくさんあるので!」と大量の袋をバサバサ振っていて、そんなに要らんやろ〜とか思ってたのですが全然違いました。出航から帰港の3時間あまりで50袋はハケたんとちゃうやろうか。言い過ぎかな。でもそのくらいの勢いでした。船は前半分の船室と後半分のデッキとに分かれて乗船するのですが、前の船室は揺れるし風が通らず暖かいために酔いやすいらしく、20人くらいが乗っていたと思いますが、生き残ったのは僕を含めて3,4人でした。

船はほかの船とも連絡を取り合いながらクジラを探しますが、この行き道がまず過酷です。早く見つかれと手のひらを胸の前で組んで願う船室。見つかるといったんはテンションが上がり、デッキに出てクジラのショーを楽しむのですが、このエンジンを切って波に揺られている時間が船酔いのピークだそうです。上下の動きが気持ち悪すぎて、クジラがヒレをあげても海面からジャンプしても、見る余裕なんてなかったそうです。潜る時に尾っぽが上がるのは何度か見れたと言っていたのでまだよかったですが、不憫すぎる。そしてその後は来た道を帰るわけですが、僕らのときは1時間以上走って来ていたので、帰りもまた1時間。船長からのアナウンスに何人かは白目で空を仰いでいました。

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ホエールウォッチングを終えて友人に感想を聞くと、「漁師さんはすごい。これからはもっと感謝して魚を食べる」という答えがまず返ってきました。それくらい過酷だと思って、臨んでください。もちろんクジラがちゃんと見られたので僕は楽しかったです。ジャンプをしたり、ヒレで海面を叩いて遊んだり、けっこうサービスをしてくれたよいクジラで、とても感動しました。このままじゃ営業妨害みたいな記事で終わってしまうので、少しでも快適にホエールウォッチングを楽しんでもらえるようにポイントを書いておきます。

 

・ホエールウォッチングのポイント!

⑴酔い止めは必ず飲む。高くてもケチらずにダイバー御用達の1番よいやつを買いましょう。

⑵朝ごはんは食べすぎない。空腹でもダメらしいので、適度を心がける。

⑶前日はお酒を控える。

⑷船は後ろの方に乗り、風が通るデッキを選ぶ。体温調節ができる重ね着にしておく。

⑸近くの波は見ずに遠くの島や陸地を見る。ダチョウのように首を伸ばしてでも外を見ること。

⑹カメラはシャッター速度優先で、望遠レンズなら晴れでもISO800くらいを推奨。クジラに会ってからも次どこに出るかは誰も分からないので、望遠レンズの覗きっぱなしは危険。広角側で全体を見つつ、姿が見えたらズームして合焦勝負。僕は爆速AFレンズが欲しくなりました。

 

・day2のその他

我々の沖縄旅行2日目はというと、その後沖縄そばの名店に行き、美ら海水族館に行くというものだったのですが、2週間が経ったいま、もう印象は薄いです。申し訳ないながら「その他」という上記の雑なタイトルのとおりです。別に沖縄そばや水族館がつまらなかったのではなく、午前中の試練が強烈すぎただけです。

沖縄そばは「きしもと食堂」という老舗で、すこし並びましたがとても美味しかったです。船酔い明けの友は「二日酔いのあと食べるのにとてもいい」と優しい味を評していました。本部の町のたぶん中心地あたりにあふのですが、周りの商店街の雰囲気がとても良かったです。昭和へタイムスリップしたような雰囲気がありつつも、中に入ると洒落たコーヒースタンドなんかもあって隠れた名スポットだと思います。

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美ら海水族館は僕は初めての入館で、南の魚がたくさん見られて楽しかったです。1日目に行ったやちむんの里で、焼き物に描かれたカラフルな魚をたくさん見ていましたが、本当にああいう色彩感ですよね。あとジンベエザメのいる大水槽を上から見せてもらったり大興奮でしたが、外海とは違って静かな水面を見て、海の生き物たちは物足りなくないのかと心配になったりしました。2日目はそれくらい、ホエールウォッチングが我々の感受性を支配したと言ってよいでしょう。

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・day3 雨の名護パイナップルパーク

翌朝起きると外は雨でした。しかもけっこうな雨で、瀬長島のビーチで綺麗な写真を撮ろうと思っていた僕たちは予定が崩れてしまいました。お昼過ぎの飛行機で帰らねばならなかったので、あまり遠出もできず、帰路の上にある名護パイナップルパークでお土産を買って帰ろうという話になったのですが、これがなかなかに面白かったです。

パイナップルのテーマパークなのですが、適度なチープ感と浅はかなキャラクター性がなんともいえない良い感じでした。ダサ可愛い。ゴルフカートが改造された自動運転の車で園内を巡回するのですが、途中で写真を撮られたり、試食が色々とできたり、子供は十分に楽しめると思います。カメラは隠されることなく、キヤノンの一眼レフが台座に縛り付けられていました。植物園と一緒になっているのですが、熱帯植物園で南国の植物がたくさん見られたのが楽しかったです。マクロレンズを持っていけばよかったです。お土産コーナーも充実で、ところどころ屋根が開いているので傘不要とまではいかなかったのですが、雨の日におすすめの観光スポットだったと思います。

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その後那覇空港まで帰りましたがけっこうな雨で、空港に着いたのは時間ギリギリでした。保安検査場を抜けて、ラウンジを御手洗いだけ済ませるというもったいない使い方で抜けて帰りました。

最後に、僕はケータイをレンタカーの内に忘れて、ケータイだけ沖縄を追加で1泊2日してきました。すぐに見つかりレンタカー屋とも連絡がつきましたが、手元に戻るまで落ち着かず、Find iPhoneでケータイを紛失モードにして跡を確認していました。僕のケータイを乗せた車が道の駅に寄ったり居酒屋に寄ったりするのを見ていて、やっぱGPSって怖くね?なんて思ったりしていました。以後気をつけます、と宣言して記事を終わりにしたいと思います。

沖縄のホエールウォッチングが凄まじかった話

3度目の沖縄旅行①

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2月下旬に人生で3度目の沖縄旅行に行ってきました。1度目は中学の修学旅行、2度目は去年7月。

 

2度目の沖縄は書いてないのになんで3度目を先に書くねんという話ですが、タイトルにもしたホエールウォッチング!この事で書きたかったんです。本記が「春休みは卒業旅行で沖縄だぜ!」みたいな学生あたりを3人救えばいいなとか勝手に思ってます。そんな読まないと思うけど。

あとは記憶の逓減率の関係ですね。去年7月の話は1週間や2週間遅くなっても、覚えてる話は変わらないけど、2月の話は違うかなと思って。

 

・day1 シブめの旅

伊丹空港から那覇空港へ。いつのまにか伊丹空港ANAラウンジが別の場所に移動してて、すごく綺麗になってました。新千歳のラウンジに似た感じ。マネケンの期間限定チョコワッフルは提供時間外で食べられなかった…。

スイートラウンジにはご当地伝統工芸アートが飾られていました。こういうご当地手工業ってアートには違いないのですが、美術館みたいな抽象的な空間に置いてしまうと意味が変わってきてしまうと思います。“民芸”をちゃんと知っているわけではないのでなんとも言えないけど、使ってなんぼの世界な気がします。民芸アートが“具体的”でいられるのはせいぜい各家庭の床の間までなのかな。

そんな話はよくて、前はモノレール側にあって飛行機なんて一切見えなかったANAラウンジが思いっきり飛行機ビューな場所になったのがチョー嬉しいです。邪魔な張り出しもなくて羽田よりもよく見えます!最高。

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飛行機はアップグレードポイントでプレミアムクラスを狙っていたのですが、アップグレード開始可能になってすぐ見たけど満席でした。この時期の沖縄って人気なんですね、残念。

 

沖縄好きの先輩に美味しいと聞いて、ポーク玉子おにぎりというナイスなジャンクフードを空港で食べようと思っていたのですが、すっかり忘れてすでに車を借りてしまっていたので、別の店舗がある北谷アメリカンビレッジという所まで観光も兼ねて行ってきました。行ったらびっくり、これでもかと“映え”を意識したアメリカンなフォトジェニックスポットでした。USJにこういうエリアあるよねとか思った。壁に絵が描いてあってその前で写真を撮るやつ、一生やらないだろうなとか思ってたんですが、やってしまいました。旅先のノリって恐ろしい。

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目当てのポーク玉子おにぎりは美味しかったです。プレーンは割とおにぎり寄りで和な感じが残ってるのですが、トッピングによっては急にアメリカンジャンキーに化けます。僕は味噌にしたのですが、プレーンよりはヤングな味がしました。でも美味しかったし、楽しさもあっていいね。

 

・やちむんの里がよかった話

そこから友人のセレクトで読谷村のやちむんの里に行きました。焼き物=やちむんかな?これが大当たりでした。センスあるわ、めっちゃよかった。田舎感もありながら、どの工房もお洒落で、器は美しいものばかり。元々は米軍の不発弾処理場だったという爆烈な現場ですが、いまはたくさんの工房が集まり、のどかな雰囲気です。

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雨上がりのじっとりした湿度で蒸し暑く、カエルの声もして、次に吹く風が楽しみな感じの気候。さながら梅雨のようでした。友人はしきりに「田植えくらいの季節やな」と言ってましたが、彼女の季節感はほとんどの日本人が失ってしまった農耕民族的感覚で、すごくよいなといつも思います。季節と田んぼや作物や動植物が密接に結びついている感じ。僕なんて旬のものにも疎いのに。

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高いやつを見ているとキリがないですが、手頃なやつを買って帰りました。茶碗と、彼女は髪留め。陶器の髪留めってなんかいいですね。渋くも可愛さがあって、いい買い物をしました。伊丹空港のラウンジにあった使わないアートとはちがう、使うアートですね。ここは“道具”と書いて“アート”とルビを振っといてください。

 

先月、大阪は中之島にある東洋陶磁美術館でやっていた「オブジェクト・ポートレート」という企画展に行っていたので、焼き物はいいタイミングでした。その企画展は陶磁器のある部分を抽出してシルエット写真に落とし込んで、ミニマルなポートレートにしてしまうというもので、かなりツボでした。

道具である陶磁器をめちゃんこミニマルな抽象にしてしまうというのがよかった。個人的に密かな楽しみとして、新幹線やら電車やらの鉄道から一部分だけを写真で切り取って、デザインを作るみたいな遊びを最近していたので、余計に面白く見られました。白磁なんてそれだけでも十分ミニマルなのに、それをさらに抽象化しちゃうんだからそりゃ楽しいよね。

沖縄のやちむんはやっぱり造形にすこし大陸の香りがして心くすぐられました。使いどころが見出せなくて買いはしませんでしたが。

 

・夕飯がよかった話

夕飯も友人のセレクトで読谷の「島食堂 てぃーあんだ」というご飯屋さんに行きました。夜営業は予約制というこのお店、うちなータイムが楽しめてよかったです。“てぃーあんだ”は“手間のかかった”という意味らしいですが、丁寧に作られたご飯を楽しむことができます。とーろんとろんの豚の角煮が優勝でした。あと器が全部やちむんなのもとてもよかった。あんなのを見せられたら絶対欲しくなってしまってたので、さっきやちむんの里で買っといてよかった〜とマジで思いました。

ただ、猫が苦手な人はやめておいたほうがいいかもしれません。逆に猫が好きな人は行ってください。猫が3匹いるんですが、僕らが行った日は3匹とも積極的に甘えてきてくれて、オーナーさんも認める猫カフェ状態でした。もともとその土地に住んでいたおばあちゃん猫とその息子、誰かが持ち込んだ捨て猫の3匹らしいのですが、そのおばあちゃん猫の人慣れったらなかったです。僕の椅子に上がってきて、背もたれと椅子の間で眠るという具合で、客にもまったく気を遣いません。くそかわいい。

 

我々もめっちゃ猫は好きなので、ほんと癒しでした。オーナーの方も気さくで優しくよい人で、またランチも来てみたいなと思いました。2時間以上いてしまった気がする。ランチは予約不可らしいんですが、並ぶんかな。ちなみにめっちゃ分かりにくい場所にあります。下調べ必須。写真は帰りがけに「我を撫ぜよ」と仰せのお猫様です。

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・1日目おわり

書き始めてから気づきましたが1日目の記事で満足な分量で、ホエールウォッチングまで到達しませんでした。2日目を書くようにしたいと思います。すみません。笑

 

Beatlesモノラルステレオ比較②

With The Beatles【1963】

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だいぶと間隔があいてしまいました。

長い距離の出張移動がなくなってしまったので書く時間が限られてしまうようになったのですが、1人の時間がなくなるとあんまりよろしくないタイプっぽいです。もっとくだらない考え事してたい。

 

前回に引き続いてBeatlesのモノラルステレオ比較、第2弾としてセカンドアルバムのWith The Beatles。いってみたいと思います。トップ写真はうちのアナログ2枚ですが、例によってアナログ音源は含まず、1987、2009ステレオ、モノラルの比較です。

結論からいうと僕は1987年バージョンが一番でした。そしてやはり泣き別れステレオはキツい…。

 

・セカンドも泣き別れステレオ以外から選ぶ

With The Beatlesもステレオ録音は左右に音が分離しています。楽器隊はともかく、ボーカルのパッツリ分断が気持ち悪いです。スピーカーで聴かないなら、お勧めは出来ないです。

ということでモノラルの1987バージョンか、2009バージョンかという感じですね。

 

Beatles 「1」というアルバムのよさ

すこし逸れますが2015年にビートルズの「1」というアルバムが再ミックスされました。「1」はイギリスかアメリカでチャート1位を獲得した27曲を集めたベスト盤で、僕も昔よく聴いていました。車に1枚だけCDを置くとしたら、この「1」を選ぶと思います。

 

なんせこれは素晴らしいです。何がいいって最初期3曲(Love Me Do、From Me to You、She Loves You)はモノラルミックスなのです。泣き別れ期の作品はモノで、それ以外はステレオになってる。でかした。英断すぎる。

2015ミックス以前のやつも最初期曲はモノだったのかは分かりません。小学生の頃はよく聞いてたけど、その頃はずっとスピーカーで聴いていたし、モノラルとかステレオとかそんなの知らなかったので意識していませんでした。旧バージョンまだ実家にあったかな…。

音質もありがとうデジタル時代といった感じでめっちゃクリアです。いい音!ずっとBeatles聴いてきた人も楽しいと思います。ギターの音こんなに乾いた気持ちいい音だったのか!コーラスワークこんなに聴こえるのか!ってなれます。曲も間違いのない27曲で、これからビートルズに入門するという人には最高だと思います。Please Please Meが入っていないのだけは不満ですが。笑

 

・音像に優劣なし、好みの問題かな

新旧モノラルのWith The Beatlesは迷いました。音像は似ていて、正直どちらもよかった。ただ僕としては1987バージョンを推します。

異論もある気はするけど、まず昔から聴いている音源なので、圧倒的に耳馴染みがよい。ビートルズってこうだよなぁという安心感。いや超主観ですが。

ボーカルや楽器の塊感が1987バージョンの方があります。いっぽうの2009バージョンは空間が広がって、ボーカルや楽器隊が伸び伸びと聴こえます。音の解像度も上がって今風の音に仕上がってます。こうなると今時の耳には2009バージョンのほうがいいかもしれないですね。古臭くなくて、聴きやすいかも。

 

じゃあなんで1987バージョンやねんって言われそうですが、こちらが好きな人もいると思います。アナログ時代の音に近いというか。デジタル時代の耳になる前に作ったものという感じがします。

この20年で録音で得られる音は確かに変化しているんでしょうね。1987年の耳で作ったいい音と、2009年の耳で作ったいい音の違いがここにあるんじゃないかとか思いました。

1990年代は太い眉毛が美人だったけど、2000年代はナチュラル系が美人だった、みたいな。違うか。

 

・本アルバムのステレオ版の意義

このWith The Beatlesを1枚買うとしたら、1987版を勧めるというのが僕の結論ですが、じゃあステレオはどうやねんと言うと、ステレオも楽しいですよ。

 

まずスピーカー環境があるなら、イヤホンと違って泣き別れステレオもそこまで気にならないと思いますが、ステレオはとにかくクリア!キレがすごいです。You Really Gotta Hold on Meのジョンのボーカルとかやばいです。艶がすごい。じゅん…と何かが熱くなります。

次に楽器の分離がよいので耳コピ向きです。All My Lovingでポールがベースを間違えるところもハッキリ聴こえます。ソロが終わって4小節目、「tomorrow I'll miss you」の後ろでベースが明らかに音を外します。ポールは後年テイクの鬼と化すし(ホワイトアルバムのI Willとか)、完璧を求めるタイプだと思ってたのになんでこのままOKしたんだろう。忙しかったんかな。

あとMoneyはイントロが全然違います。モノラルは入りのピアノが生音っぽいけど、ステレオではエフェクトがかかってます。そこにかぶさってくるギターも歪みや音数が違います。ステレオとモノラル違いの代表的なやつですね。

 

最後に僕は知りませんでしたがNot a Second Timeは回転数やフェードアウトのタイミングが違うようです。

(参考:https://beatlesdata.info/alternate.htmlいつもお世話になりまくってます…!

このミックス違いはモノラルの方が好きかな。ジョンのスキャット?が長く残るのはモノラルです。

 

あと上記サイトによるとドイツ盤にはAll My Lovingのイントロにハイハット5発が入るやつがあるとのこと。これは気になる…!たぶんライブでポールが「1,2,3,4,yeah!」とカウントしてから入るやつ(アンソロジー1に入っているエドサリバンショーで聴ける)をスタジオではリンゴがやったんですかね。いつか欲しいなぁ。

 

余談ですが、だいぶ前にこのアルバムのステレオオリジナル盤を買いました。状態があまりよくなくて安かったところ、UKオリジナル盤という甘い響きにやられて買ってしまいました。もちろんラウドカットです。たしかに音はそんなに良くなかったのですが、それなのに何…⁉︎この鮮やかさ…!と狼狽しました。腐ってもUKオリジナル盤。

 

・まとめ

ということでまた1987バージョンを選んでしまいました。せっかく新しくmonoを出してくれたのに申し訳ない。選ばなかったけど、もはや好みの問題で2009バージョンも良かったですよ。All My Lovingとか特によかった。話題にもなるし、出してくれたのは本当に嬉しいと思っています。何度もリマスターされて財布には厳しいですが、文化遺産としてはよりよい改良が入るべきだし、誰かが言ってた「勝者の証」ってのもわかる気がします。

 

次はサードアルバム、A Hard Day's Nightをやります!頑張ります。

 

 

Beatlesモノラルステレオ比較①

これがやりたかった!聴き比べ!f:id:kutsune60:20180628205528j:image

今日は僕が愛してやまないビートルズの話を書きます。備忘録も兼ねて公式アルバムのステレオorモノラルリマスター盤の聴き比べです。完全に主観と僕の好みですが、この盤はこっちが好き!を書きたいと思います。

 

Yellow SubmarineとLet It BeとAbbey Roadはステレオでしか出ていないのでモノラルはありませんが、2009年のステレオリマスターと1987年のジョージマーティンのリマスターを聴こうと思っています。また、トップに写真を載せておいてなんですが、レコードの各国盤まで聴き比べ始めると相当なボリュームでマジで沼なので、とりあえずはデジタル化されて出ているCDを対象にします。各国盤レコードはそんなのが書けるほどには集められてないですしね…。そんなのはレコードの内溝マトリクスの意味が分かるくらいにならないと、知識的にも畏れ多くてできない気がします。

 

今回のネタは脱初級ビートルマニアと楽しめたらいいなと思います。ビートルズはひと通り聴いたから次はどうしよう、という方の音源聴き比べへの道の一歩になったら幸いです。

 

Please Please Me[1962]

順を追っていきたいと思うので、やはりファーストアルバムからいきたいと思います、1枚目は僕がレコードでビートルズを集めるきっかけにもなったPlease Please Meです。実は最初、これのステレオ録音をレコードで買ったことがきっかけでレコードというものにハマりました。なんですが、Please Please Meはやっぱりモノラルに軍配が上がると思います。

 

・ファーストはモノラル

このアルバムはモノラル派が多数派だと思います。界隈では有名な話ですが、初期のアルバムのステレオはオススメできません。ミックスの問題で左右で楽器とボーカルがぱっつり分かれてしまっていて、スピーカーでの再生ならともかく、イヤホンやヘッドホンでは非常に気色が悪いです。「泣き別れステレオ」とか言われてるくらい分離しています。

各家庭にある音楽再生環境がモノラルばかりであった当時、ステレオ音源には力を入れていなかったというのが定説で、ステレオ音源はやっつけで作られていたと言われています。モノラルがあくまでメインで、ステレオは適当だというのは聴いていてもなんとなくわかる気がします。たとえば曲のPlease Please Meのステレオはジョンが2番で歌詞を間違えますし、曲の最後、「Me,Oh yeah,like I please you」を繰り返すところなんですが、演奏がぐちゃぐちゃになってないでしょうか。タテ合ってないのになんで採用したんだろう。

 

ジョージマーティンがCD化した時に Please Please MeからBeatles For Saleまでの初期4作品はモノラル音源が採用されていますが、マーティンが「初期はステレオでは聴かせらんねえなぁ」と思ったからなんじゃないでしょうか。

 

・2009モノラルリマスターより1987旧CD

ステレオリマスター盤を却下したら、2009年のBeatles in Monoか、1987年からの旧CD盤かで選ぶのみです。ステレオ・モノラルというものを知ってから気づきましたが、僕が小学生の頃からせっせと聴いてきた音源はモノラルでした。それもあって違和感アリアリの泣き別れステレオはやっぱり選べませんでした。

そして聴き慣れているからかもしれませんが、2009モノラルより旧CDモノラルのほうが僕は好きです。楽器の音に関してはさして違いが分からないのですが、ボーカルが2009モノラルの方が埋もれ気味というか、遠いところにいる気がします。旧CDモノラルのほうが一発録りの迫力が楽しめると思います。このアルバムの醍醐味は最後のTwist And Shoutのジョンのボーカルだと思うのですが、その鮮やかさで選びました。すでにあちこちで語り尽くされていますが、このテイクはやっぱりすごい。音楽史に残る名テイクだと思います。

 

 ・Please Please Meは旧CDモノラル

ということで、僕の個人的結論は Please Please Meは1987年のCD化の際にジョージマーティンが作ったモノラル音源です。1枚目から新しいやつのほうがよいみたいな結論にならなかったので先が楽しみです。

 

・ステレオは要らない?

では2009年のステレオリマスターは聴かないでよいかというと、そうは思いません。ビートルズ好きとしてはこれも聴いてほしいです。 Please Please  Meでジョンが2番の歌詞を間違えると書きましたが、その後ジョンはカモン〜の部分で「やっちまったぜ」的にすこし笑います。それがたまらないのです。すぐそこに23歳のジョンレノンがいる感じがして僕は毎回ニヤけてしまうのですが、分かってくれる方がいると思います。

 

1987年モノラルがベストだけどファンとしてはステレオもぜひ!という結論でファーストアルバムを締めたいと思います。

 

森道市場2018録②

2度目の森道市場へ

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だいぶと梅雨っぽくなりました。

僕はアジカンのサーフブンガクカマクラを聴いていれば梅雨は乗り切れる人間なのでよいのですが、やっぱり嫌な季節ではありますね。

でも朝から降る雨に透明なビニル傘をさして、江ノ電に乗ってフィルムカメラと鎌倉のお寺を歩き回って、夕方になって由比ヶ浜に出たら雨が上がって空は橙色に、みたいな展開があるなら悪くはないな。とか神戸で書いてます。鎌倉は遠い。

 

この前に書いていた森道市場録の2日目を書きたいと思います。去年を超えてバカみたいに雨が降った2日目でした。

 

森道市場2018 day2

今年は参りました。雨が降るとは聞いてたけど降りすぎちゃう?2日目はもう朝から雨で、泊まっていたええ感じのホテルの快適な朝からは非常かつ非情な距離がありました。2017年も1日目は雨だったので、朝はたいして気にせず三河大塚から歩き始めたのですが、会場に着いたくらいからガンガンの本降りになってきました。これで今年もテント勢の地獄絵図を見てしまったので、森道でテント泊はまた遠ざかった気がします。

 

去年、雨に打たれながら観たペトロールズでBeatlesでも来ない限り雨の中がっつりバンドは見ないと決めてたので、今年は力を抜けました。マトモに行ってたら僕は身体が保たなかっただろうから、その意味では去年の経験は生きたのだろうとは思います。登山用のミレーのレインウェアとモンベルのレインパンツで挑んだのですが、今年はさすがにあかんかったです。去年はいけたんだけどな。では、どうしてもレインウェアを打つ雨の感覚が記憶にまとわりついて来ますが、2日目の何を聴くのだを書いておきます。

 

何を聴くのだ

僕の2日目の流れはこんな感じです。

片想い→Michael Kaneko水曜日のカンパネラ→スペアザアコースティック→サニーデイサービス

くるりtofubeatsmabanuatoeは断念しました。くたばるくらい好きなら死亡上等だったのですが、くたばってしまっては元も子もない。

片想いは、片想いを教えてくれた友人と来ていたので是非観たかったのだけど、雨であまり積極的になれませんでした。朝ごはんを食べてました。雨の中聴く音楽でもないし、運が悪かったです。

Michael Kanekoはこの日の個人的ベストアクト。チルアウトステージのテントをバツバツと雨が打つ中での演奏でしたが、屋根の下なだけまず良かった。まだ午前中でしたがこの時点で一緒に来てた友人のうち2人は東京に帰ってしまいました、脱落です。そのくらい雨は降ってたのです。演奏中、2度も停電トラブルがあり、アンプラグドステージが勝手に発生したのだけど、これがエモかったことエモかったこと。森道に来てベンEキングやオアシスが聴けるとは思っていなかったです。あとどの曲だったか忘れてしまったのだけれど、ギターソロの直前で復電した曲がありました。予習の甲斐もあって電気が来た瞬間、「ここで来たか!!」って思っちゃいました。「めっちゃ美味しいやん!」って声に出さずに叫びました。復電ギターソロと呼びたいと思いますが、あれは完全にミューズが降りて来た瞬間だったと思います。案の定、会場の感情全部を持っていってたと思います。ありがとう音楽。

水曜日のカンパネラは、理解がついていきませんでした。退場の仕方がすごかった。演出の人はさぞ楽しいのだろうな。振ればコムアイコムアイであれこれやってくれそうだし。音楽もかっこいいんですが、実は僕は水カンがわからない。フェスに来たら見に行くけどワンマンは行かないかな。この前、録音媒体についてコムアイが持論を述べてるインタビューを読んだけれど、その辺の思想も合わなくて。僕はクラシック生まれビートルズ育ちなので、どうしてもよいメロディが好きだし、ビートはファンクが持っている程度にあれば十分で、16分音符以上はあまり要らないかもしれません。とは言いつつ好きな曲はけっこうありますが。

スペアザアコースティックは、すみません、ずっとテントの下にいました。知ってる曲ばかりやってくれて最高だったはずなのですが、雨が強すぎました。会場に落ちてくる雨の音でもはや漏れ音も聞こえない。ミネストローネとホットワインを飲みながら遠く聞ゆる演奏を聴いていました。これはこれで正解だったと思います。

最後に観たのはサニーデイサービス。Dance to the popcorn cityのツアーに行っていたのでそんなにモチベーションは高くなかったのですが、ホントこれを観てから帰ってよかった。本当にそう言えるライブでした。なんせリズム隊がキレキレのバッキバキでした。もしかしたらファンクロックバンドだったのかも。それくらい縦のノリでグりグり来てました。この頃には天気は風も出てきて、会場はさながら台風中継の様を呈してきていましたが、それさえ演出みたいなバンドの勢い。めっちゃよかった。「新曲やります!」と言って叩き込んできたFuck you音頭も衝撃でした。リリースされたマスター版を聴いたけど、あの日の天気と共に荒れ狂うキレキレ版を聴いてしまったら、物足りなくて仕方ありませんでした。雨に負けてサニーデイを聴かずに帰っていたら本当に雨に負けていただろうな。あのライブを見たから、来年も行っていいかなという気になっている自分がいます。

 

サニーデイサービスの後、僕らも脱落しました。もうムリ。雨はともかくとして風が凄かったです。雨つぶてに殴られながら蒲郡温泉に向かい、駅の近くでひつまぶしを食べて生き返り、なんとか棺で冷たくなることなく帰りました。音楽は素晴らしかったと書いておいてなんですが、この日の1番の幸せはこのひつまぶしでした。店のおばちゃんもめっちゃええ感じでした。また行こう。

 

最後に、やっぱり気になったのは、フェスなのに皆さんさすがに傘さしすぎじゃないでしょうか。当たり前かのような傘咲き率。カッパで雨に打たれている自分がアホくさくなってきてしまって、傘を持って来ればよかった的な気分にさえなりました。ええんかいな。

 

愛知県であるええ感じのフェスということで、僕は西の人間と東の人間を結びつけられる大事な場所だと勝手に考えています。来年も行きたいから、次の発表を楽しみにして森道市場2018録の締めといたします。

森道市場2018録①

2度目の森道市場へ

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本当に今さらですが、気持ちのよい時期が終わりつつあるので、気持ちのよい時期の話を書きたいと思います。

5/12〜5/13で出かけた音楽フェスの話です。まぁ実際はバカ雨に降られて泣きべそかきそうになって帰ったのだけど。

 

森道市場という野外イベント

あの週末は毎年GW明けの週末に行われる森道市場という音楽フェスに遊びに行ってきました。主催者はあれはフェスじゃなくて野外イベントだと言っているらしく、会場にたくさん人がいる割にはステージ前には人がいないから、僕も厳密にはそうなんだろうなと思います。音楽目的でなくても楽しんでる人がたくさんいるからだと思います。

 

でも僕は音楽を聴きに行って友達とおしゃべりをしてお酒を飲むという機会を求めているので、僕の中では音楽フェスと呼んでまったく相違ないと思います。毎年、遊園地の遊具に乗りたいとか海で遊びたいとか思うのですが、好きなバンドを回ってる内に終わってしまう。

 

今年は登山用ゴアテックスが敗れるほどのバカ雨により2日目は生きた心地がしませんでしたが、それでもいい思い出はあります。なんとか生きて大阪に帰れたので、楽しかったことや感じたことを書きたいと思います。

 

5/12、森道市場day1

晴れの参戦

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森道市場は愛知県は蒲郡市で行われるフェスです。名古屋駅からJR東海道線で1時間。遠すぎないという絶妙な遠さ。会場では関西弁も関東弁も聞こえてくるけど正直、みんなよく来るなと思います。他には何もないよ蒲郡

僕は仕事で週に1,2回は三河に用があるので、さすがに蒲郡までは行かないのだけれど、名古屋からそっち方面の電車には明るいのです。なんなら今も三河から大阪へ帰る列車の上なのです。まだ着かない。

 

早起きして7:30の新大阪駅に友人と集合。名古屋までは第二の通勤ルートみたいなものなので、こういう時は勝手がわかって嬉しい限り。新大阪〜名古屋は12号車に乗っておくと新大阪で階段を上がってすぐ列車に乗り込んで、名古屋で列車から降りてすぐ階段を降りられます。あとゴミ箱にゴミを捨てたい人は東京方面13号車側の扉がおすすめです。

 

去年は朝からめっちゃ雨だったので、今年は新幹線に乗ると青空なことが嬉しくて、大山崎あたりでもう楽しくなってきてました。太陽は偉大なり。青空は尊い。窓の大きい700系に乗っていたのでなおさらです。C54編成でした。去年の6/7にも乗っています。気色が悪いことを承知で申しあげますが、僕は乗った新幹線の編成番号を記録しているので、同じ編成に当たると久しぶり〜元気〜?という感覚になります。

 

名古屋駅東海道線の新快速に乗り換えて、三河大塚駅まで行くのだけれど、車内は行き先が同じと見える人ばかりで、なおテンションが上がります。車内みんなはもう楽しそうで、フェスはこうでなくてはね。

そのぶん、三河大塚駅ではあまりにみんなが降りるものだからたいそうな混雑でした。端っこに乗っていたこともあって、降りてからずらっと並ぶ出口までが遠い。来年があれば真ん中へんに乗ろうと、もうひとつ学びました。

 

三河大塚駅で東京からの友人たちと合流して、遅れて参加する組を除くパーティが完成しました。三河大塚から会場まで歩くのだけれど、雨のせいで遠く感じた去年に比べて近いこと近いこと!海沿いを歩く所もあって気持ちがよいし、健脚ならバスなんか要らないね。もっと子供連れに譲ってあげてはいかがでしょう。

 

会場は去年と同じでしたが、動線がすこしいじらられていました。自分でも内輪ながら小さいイベントをやるようになってから、そういったところを見てしまうようになりました。おこがましいとは思うけど、学ぶのは悪いことではないと思うので、ええよね。

去年渋滞していた道路側の出店エリアはすこし整理されてたと思います。一方で、入口が謎に遠く離され、説明も分かりにくく、信号のある交差点付近は時間によっちゃ大変だったみたいですね。後からSNSで読んだ話だけれど。なんでああ動かしたのだろう。知りたい。

 

何を聴くのだ

僕の1日目の流れはこうです。

在日ファンク → John John Festival →Nulbarich→アジカンOriginal Love

在日ファンクは学生時代にやっていた音楽のせいで、リハからしてもうよかった。ギターの音色だけで練習スタジオを思い出しました。やっぱりファンクはまたやりたい。

ジョンジョンは客層がとてもジョンジョンで、面白かったです。映画タイタニックにディカプリオが優雅な船上ダンスパーティーの下で、船の下の方で、アイリッシュダンスをするシーンがありますが、描かれているようにアイリッシュダンスは身分の高い人たちのものではありませんでした。それがオーガニックナチュラル系お洒落ピープルにこのように消費されているのは不思議であります。けなしたみたいな言い方になったけどそうではなくて、他意はなく単純に雨白いなというだけです。僕は無印良品は好きです。

ナルバリッチは歌が音源のままでびっくり。上手いなぁ。ただ、ずっと一度聴きたいと思っていたのでけっこうメインに据えていたつもりだったのだけれど、割とあっさり聴き終えてしまいました。

その対極な感想になったのがアジカン。中坊の頃からアホほど聴いてきたアジカン。邦ロックではぶっちぎりで1番好きですが、もう何度もライブに行ったし、6月には骨芋盤のツアーにも行きます。まぁちょっとでええかなぁ〜と思って遅れて行ったら、クソエモでした。さすがに人が多くて、風向きのせいで音が安定しないくらいには後ろの方だったのだけれど、クソエモでした。今を生きて→生者のマーチ→海岸通りって、最高か。やってくれるだろうなとは思っていた生者のマーチ、ライブ最高でした。やっぱあれいい曲だね。海岸通りの匂いがすこしする気がする。

最後に、この日のトリはOriginal Loveだったのですが、ベストアクトでした。知らない曲まで全部よかった。帰ってからめっちゃ聴いたアーティストの1つでした。キャラにびっくりしたところもあり、惚れました。いい音楽やるなぁ。余韻がすごかった。ありがとう音楽。

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Original Loveのおかげで、終演後は三河の日本酒で酔っ払いました。翌日の雨を危惧して開催された砂浜でのアイリッシュパーティで踊ったりもしました。

 

今思うと1日目はどれだけ楽しく幸せであったことでしょうか。去年フェスや山で雨を経験して打たれ強くなったと思っていた僕は、翌日の惨状をまだ思い描きもしないのですが、2日目の話はまた続きといたします。

 

 

The Beatlesへの想い

僕をつくったBeatlesへの想い

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いま僕は新千歳空港から関西空港へ移動する機内で下書きをしたためています。片道2時間20分、同じ国内だけど遠いですね。

 

ニコンポを買い換えた嬉しさでまだ道具の話しかしていませんでしたが、今日は好きな音楽の話をしたいと思います。

 

両親がクラシック音楽を好んで聴いていたので、昔から音楽そのものには馴染みが深い環境には身を置いていました。音楽はたぶん好きでした。ただ、多分それだけでは人よりも好きかなというだけで終わっていたかな。好きなバンドのライブを聴きに出かけたり、音楽フェスに行ったり、レコードを集めたり、という今の自分にはなっていなかったと思います。僕の「音楽が好き!」を作ってくれたのは完全にビートルズでした。

 

Beatlesとの出会い

僕はビートルズが好きです。自分の中にある色々な思いの中で、1番確固としてある思いは多分これです。写真を撮るのが好きだとか、関西で暮らしていたいとか、カレーの後にはコーヒーを飲みたいとか、他にも趣味嗜好はたくさんあるけれど、断トツで確固としている感情はこれなのです。

 

小学5年生の時に、祖母宅の叔父の部屋にある机の引き出しから出てきたカセットテープを家に持って帰って聴いてから、今までずっと好きなのです。あの衝撃はなんだったのだろうと思います。好きな食べ物や好みの音楽や気になるあの子が変わりゆけど、Beatlesだけは好きなバンドで不動の一位でした。浮気はなく、ミリ微塵ゆらいだことすらありません。

 

叔父のテープにはいろいろと有名どころが入っていたのだけれど、その中の「Hello Goodbye」と「All You Need is Love」にハマったのをよく覚えています。朝学校に行く前に居間のスピーカーでその2曲を聴く日々が続きました。

 

その様子を見た母親が叔父に「あの子ったら毎日ビートルズを聴いているわよ」と言ったところ、喜んだ叔父がビートルズの全アルバムをCDに焼いて送って寄越したのです。全アルバムを。それからはもう大変、僕は居間のスピーカーで毎日ビートルズを聴くようになり、呆れた両親が買ってくれたのが先日買い換えたシャープのミニコンポなわけです。

 

ちなみに、この時送られてきたアルバム(Please Please MeからLet It beまでの13枚+パストマスターズ黒白とベスト盤の1)の中で、僕が1番気に入っていたアルバムはBeatles For Saleでした。しかも曲でいうとEvery Little Thing。小学生にしてはシブい選曲だと今でも思います。

 

その後もビートルズ熱は冷めることなく、中学生になる頃には彼らが好きだった50年代の音楽なんかを聴くようになったりして、オレンジレンジケツメイシが流行る中で話が合わないくそガキとして過ごしていたのをよく覚えています。たぶん僕の中で中二病とくっついてしまった部分があって、ロイオービソンやファッツドミノを好んで聴く自分に酔っていた部分も、いま考えるとないわけではない気もします。いま思うとそこには、恥ずかしさがないわけではない気がする…。

 

ビートルズアジカン

ちなみに、僕の音楽遍歴を語る上でもうひとつ外せないバンドにアジアンカンフージェネレーションがあります。アジカンがいなければバンプエルレRADWIMPSチャットモンチーも聴いていなかったと思うので、その存在は大きいです。クラシックとビートルズ周りの洋楽しか聴いていなかった僕の腕を邦ロックに引っ張ってくれたのがアジカンだったのです。

 

じゃあなんでアジカンを聴いたのか?という話ですが、これは仲の良かった友人にアジカンを勧められたのがきっかけです。

ただそこにもビートルズが絡んできます。

アジカンで最初に勧められた曲は「メロディーラインが綺麗だから聴きやすいよ」という理由で「君の街まで」でした。勧められた後にアジカンとはどんなバンドなのか、Wikipediaで検索してみたら、ギタボがベースを誘った時、好きな音楽を尋ねたら「ビートルズ」と答えたから気が合いそうだと思った。そんなエピソードが書いてあったのです。ビートルズが好きだと聞いて「コイツいいな」と思ってメンバーを誘ったのかと、なんとなく趣味がこちら側な気がして聴き始めたのをよく覚えています。

そんな感じで、他のことの判断基準もビートルズになっているくらい、彼らの音楽や思想に傾倒してる時期がありました。

 

レコードとビートルズ

僕は音楽をレコードで聴きます。CDはほぼ買わないようにしてます。レコードの方が場所を食うのだけれど、データしか入っていない円盤を買うのならレンタルかサブスクリプションでよくない?と思ってしまう。ジャケットも大きいし、理論上は無限に近い情報量が入っているアナログレコードで買った方が意味があるな〜と思ってしまうのです。

(この記事を書いて半年以上、最近サブスク音源のBluetooth接続より断然CDの方が音が良いことに気づきました。当たり前ですが、CDもいいな…笑)

 

そんなレコードも、学生時代にいたバンドサークルで先輩に「そんなにビートルズが好きならレコードで聞かなきゃダメだよ」と言われたのがきっかけでした。新宿のディスクユニオンに連れて行ってもらったのがよい思い出です。

 

100回生まれ変わっても好き

飽きるということは人間誰にでもあると思います。僕だっていろんなことに飽きてきました。飽きは来なくとも、環境が変わってやらなくなるものもあります。

 

ただ、ビートルズには飽きない。たぶん100回生まれ変わっても好き。僕の寿命が80年なら8000年くらいは余裕で愛せそうです。あぁ今日はビートルズしか耳が受けつけないなという日だってあります。

 

学生最後の海外旅行は1人でイギリスに行きました。リバプールへ行って4人の生家を巡ったりしました。もちろんジョンとポールが出会ったセントピーターズ教会も行きました。ロンドンでは大英博物館に目もくれず、ハードデイズナイトのロケ地巡りをしたり、“あの横断歩道”の横でアビーロードのアルバム1枚まるまる聴いてきたりしました。

 

レコードは各国盤やプレス違いを聴き比べる楽しさを覚えました。UKオリジナルの1stプレス、いわゆるマト1の破壊力も知ってしまいました。あれはあかん。たぶんこうやって一生楽しむのだと思います。プレス違いのレコード集めはライフワークに出来そうです。

 

ビートルズは音楽の教科書に載りました。社会の教科書にも載っています。そのうちモーツァルトやベートーベンやストラヴィンスキーと並べられて語られるようになるのかもしれません。

 

それだけすごいバンドなのは嬉しいのですが、もうそんなことはどうでもいいかな。僕は趣味嗜好からものの考え方に至るまで、彼らに作られてしまったところがあります。

 

アップルが節目ごとに出していく新音源にはお手上げです。モノラルのアナログセットは嬉しかったですね。「ちくしょう、阿漕な商売しやがって」と思いながらも散財し続けようと思います。そうやって生涯かけて愛せる音楽があって幸せやなぁとたまに思います。