森道市場2019録①
3度目の森道市場
今年も行ってきました、森道市場。
梅雨入り前、毎年5月の気持ちがいい時期に愛知県は蒲郡にて開催される音楽フェスです。3年連続で雨も降ってますが、それでも今年も楽しかったです。音楽フェスじゃなくてあくまで市場だから!という主催のコンセプトはいいですね。
友達とサウナが持っていった3日間
僕は今年、「人に会う」ことが森道市場の目的になりつつあるなと感じました。互いに音楽目的なのはもちろんなのだけど、毎年森道ではたくさんの友人に会います。僕は学生時代を東京で過ごしたあと関西にUターン就職したので、東京にたくさん友人がいます。彼らと会える音楽フェスとして地理的に森道はぴったりです。ここで毎年会う友人が出てきてしまって、なんかもう抜けられない感じがあるのが有り難い限りです。
そして何より、僕の今年の目的はNight FishingプレゼンツのSaunaCampにありました。後述しますが、このためだけに蒲郡まで行ったと言っても過言ではありません。いやほんとに。
先に言いますが音楽フェスの感想なのにこの森道市場2019録①はほぼSaunaCampの話しかしません。
そんなわけで、音楽は何よりも好物なつもりですが、もはやそれが無くても今年に関しては満足していたと思います。フェスキッズ卒業でした。そもそもキッズな歳ではないですが。
僕のサウナ元年
サウナキャンプが何かという話をする前に、まずサウナの話をさせてください。僕が最近ジュージューとハマりつつあるサウナの話。
僕のサウナというものの認知は2019年にガラリと変わりました。僕の暦の上では2019年は平成31年と令和元年とサウナ元年です。それまでは暑さに満ちた汗ばんだ空間としか思っておらず、中の人たちは何をしてるんだろうとずっと不思議に思っていました。単なる汗かきデトックスかなとか思ってました。
サウナの何がいいのか
きっかけはウチにある友人が来た時、彼が最近狂っているというサウナについてアツいプレゼンをしたことです。彼がそのディープリラックス感と快楽性と作法とをあまりにも活き活きと語るもんだから、ちょっと興味が湧いたんです。
まず全体のお作法と、個々人の方法が両方あるのがいいなと思いました。マナーを守りつつ基本から始めて、自分のやり方を見つけていくというのは趣味性が高くて面白そうです。「ととのう」「羽衣」「あまみ」など用語がいっぱいあるのも楽しそうでした。
※ととのう:たぶんサウナ用語。快楽物質が回り気持ちよくなって得られるリラックス感。たぶん。
あと快楽物質についても興味がありました。昔、椎名林檎のモルヒネを聞いてドーパミンやエンドルフィンを知り、お酒とよい音楽とよい空間をかけ合わせたときの後頭部中央奥くらいの気持ちよさがそれなんじゃないかと思っていた経緯から、あれが操れるなら是非やりたいと思い参入しました。
出張先の北海道でサウナ付きのホテルに泊まってみて、サウナ→水風呂→外気浴と、友人に習ったとおりに3セットをやってみました。1セット目をなるほどこんなもんかと終えて続けた2セット目。これが僕のサウナーへの扉を開いてしまいました。間接照明のほの暗さとビジネスホテルぽくないアンビエント音楽、独り占めした水風呂と冬の北海道の冷たい外気浴が効き、世界が回り始めて、椅子の上で笑いが止まらなくなるくらいにととのってしまってました。座ってる椅子の脚が床から離れて北の大地がフワフワと自分から離れて広がっていく、そんな感じでした。
これ以後、出先のホテルはなるべくサウナ付きのところを選ぶようになり、サウナの楽しみに沈みつつ、今にいたっています。
森道市場×SaunaCamp
森道市場ではサカナクション率いるNight Fishingが毎年なにかしらのイベントをやっています。去年は食事を作る音をサンプリングして音楽にする「Eat Beat」とコラボしてました。
このコラボが今年はSaunaCampだったのです。ちょうど行くつもりだった森道市場に興味のあったSaunaCampが来るということで、嬉々としてチケットを取りました。土日は鬼のように混むんじゃね?という懸念から金曜から日曜までの3日間で参戦しました。金曜ならサウナを堪能できるだろうという考えです。いま思うと凄まじいモチベーション。
それでSaunaCampの実はどうだったのかと言うと、控えめに言って最高でした。野外フェスでサウナ体験が出来るよう、断熱テント内に薪ストーブを入れてその上にサウナストーンを置いてサウナー各位を熱し、水風呂代わりに遊園地のプールにintoできる完璧なシステムが森道市場にはありました。
サウナエリアはステージ後方の正面だったので生演奏が聴けるし、転換中にはプール両翼に設置されたスピーカーからサウナ用プレイリストが流されるという天国具合。水風呂がぬるめだったのにも関わらずバキバキに整いました。音楽との親和性がありすぎました。あんなんあかんやろー。僕調べで音楽が好きな人はサウナにハマりやすいという言説があるのですが、やっぱり本当だと思います。快楽を覚える脳の部位が似てるんじゃないかな。
しかも10棟あるテントにはどれも異なるアロマ水が用意されていて、どの匂いも最高でした。ユーカリ、ミント、はちみつレモン、薪スモーク、ローズマリー、生ヴィヒタあたりが印象的だったかな。特に生ヴィヒタ、超楽しかったです。セルフロウリュ(熱したストーンに自分で水をかけて温度を上げること)も可能で、個人の裁量で温度を調節でき、洒落た匂いも好きに浴びることができました。
1日にやっても3セットだった僕がその日は8セットくらいやりました。すごかった。まじ魔物。金曜は「せっかくだから人の少ない森道市場で写真を撮ろう」とも思っていたのですが、昼間に着いたのに気づいたら20時過ぎで、サウナ以外何も出来ませんでした。笑
夜のサウナエリアは照明がとても美しく、水風呂であるプールの水かさも上がってきて冷たくなり、ととのい環境としての威力が増していたことも離れられなかった理由だったかなと思います。最後に金曜のフィナーレだけ見ました。まぁNFが目当てだったのですから、これでもう大満足でした。
ちょっと考察。SaunaCamp!
この日、一緒に行った友人がサウナに開眼していました。サウナの師が共通の友人であり、100度近いあの熱いプレゼンを一緒に聞いてはいたのですが、森道市場前はたぶん彼と僕にはサウナ室の1段目〜2段目くらいの温度差がありました。「サウナいいよね〜」という言葉への熱の入りようは違ったと思います。それがどうでしょうか。何回目だったかの外気浴後にこちらは歩いてくる友人の晴れ上がった顔を見て「あぁ君も扉を開いたのか」と思いました。紛れもなく真理を見た顔をしていました。これにて2人してめでたく人柱候補です。
帰り道、2人でサウナキャンプの何が楽しかったのかを話しました。巷のサウナにはないグルーヴがあの日のSaunaCampにはあったと思います。僕らはホテルに帰っても侃侃諤諤とその良さを話し合っていました。
・音楽がいい
もはや自明のことですが、やっぱ音楽は良かった。最高でした。合います。音楽とサウナは文句なしに合います。個人的には楽しい思い出があるVIDEO TAPE MUSICのSpeakLowという曲がかかったタイミングが絶頂でした。ありがとうDJ、ナイス選曲。あとジャンルとしてダブはくっそととのいましたね。合うんやと思います。
・場所がいい
これも言わずもがなですが、ロケーションが最高でした。水風呂がプールという解放感。浅いけれど、ひーろいのです。もちろん泳げます。バタフライ以外はやりましたね。しかも外気浴スペースはプールサイドなわけで、椅子に座ってもよし、そのまま地面に寝転んでもよしで、自由度がたまりませんでした。
・人がいい
この辺から特筆点です。あの3日間のサウナエリアの高ぶりは、参加者との共鳴にあった気がします。みんなサウナが好きで来ているという連帯感です。NF×SaunaCampは界隈では相当な話題でしたが、フェスに来ていた全員からするとまったくのマイノリティでした。「テントの中でなんかやってるよ…?」と覗き込むだけの来場者が9割9分だと思います。
そんな中でサウナが好きな人が全国から集まっているわけで、スタッフもみんなサウナ好きなわけで、話が弾まないわけがありません。師によるとサウナ界で有名な人も多くいたそうです。そういう「このためにきたぜ!」感がエリアに謎の高揚感を生んでいた、そんな気がします。
・歴史を作ってる感がいい
前項に少し近いところがありますが、あの日の高揚感には自分たちが歴史を作っているという感慨もあったと思います。音楽フェス×サウナの取り合わせはちょいちょい話題にはなっていたみたいなのですが、初実現があの森道市場でした。
これはもっと出来るもっとやれる!という感触を全員が得ていたと思います。特に企画側の皆さまにその確信があったと思いますが、参加者にもあったんじゃないでしょうか。新しい文化形成に立ち会えた喜びというか、新しい道が開かれた喜びというか。その共振がグルービーだったんじゃね?とか思っています。
・コミュニケーションがいい
普通、僕はサウナでは人と喋りません。誰もがそうだと思います。瞑想するか、中にあるテレビをぼんやり見ているかのだいたい2択です。1度北海道の支笏湖畔にある老舗旅館サウナでおじいちゃんに話しかけられましたがそれは珍しい例で、普通は話しかけられもしないと思います。みんなそれぞれの宇宙旅行を楽しんでいる感じです。
それがSaunaCampは全く違いました。めっちゃ喋った!同じサウナになった人たちと、出身やら仕事やら音楽やら、そしてもちろんサウナやら、めっちゃお喋りをしました。初めてのことでしたが、全然悪いもんじゃなくて、これがとても楽しかったです。THEサウナーな方もいれば友達に引っ張って来られたビギナーまで、みんな感想が違って面白かったです。
・サウナテントでセルフロウリュがいい
なんで普通は喋らないサウナであんなにお喋りをしたのか。それはサウナテント内の仕組みがよい働きをしていたからだと思います。
まずはサウナテントは狭いです。快適人数はおそらく4人。収容人数は5人ってところかなと思います。当然各々の距離は近く、喋ったほうがいいよね的な距離感に最初からなっています。
そして外せないセルフロウリュ、これが会話のきっかけになっていました。狭い空間を共有しているわけですが、ロウリュすればテント内の温度は爆上がりするのでテントメイト(今できた言葉)に無断ではなかなかしにくいところです。必然的に「ロウリュしてよろしいですか?」という問いかけが生まれ、「ガンガンいきましょう」「うわめっちゃ熱い…いいっすね…」みたいな、それをトリガーに他の話が続いていきます。会話のきっかけになる仕組みが、アロマ水を張ったバケツ&ひしゃくという形でどのテントにも用意されているので、自然とお喋りが弾んだ。こんなところだと思います。
森道前にTwitterをフォローさせていただいていた方と後日繋がることもできました。サウナハットを自作されている方だったのですが、このサウナハット写真に撮ったな…!とか思って勇気を出してメッセージを送ってみました。まだそこまで広がっていないカルチャーだからこそできた絡みだったと思います。
終わりに
そんなこんなでやっぱり森道市場2019①はサウナの話しかしませんでした。もともとおじ様たちの物であったサウナが健康や美容、アウトドアやフィランド的シャレオツ文化としてあらためて見直されてフレッシュな受容のされ方をしつつあるのが面白いと思います。
まぁそりゃ流行るよなーと思いますけどね。だって気持ちいいもん。短絡的ながら、酒に音楽とか人にめっちゃ褒められるとかに並ぶ合法ドラッグですよあれ。
ほんとにサウナの話をしてたら終わってしまいました。森道市場2019録②では音楽やお店の話をしたいと思います。つづく!