ぶらりのつもり。

平成生まれがよい大人を目指す道ログ

オルトフォン 2M Redの嬉しさ

憧れのカートリッジ交換をやってみた!f:id:kutsune60:20180205093640j:image

閲覧数が100を越えましたよという通知が来ていました。閑古鳥なきまくりハマグリな場所になるかと思っていましたが、思っていたよりかは世間の目に触れているようでびっくりしました。もちろん少ないのだろうけど、僕はもっと自己満足に終わる目に触れないものだと思っていたのです。ありがとうございます…。

 

TEAC TN-350のその後

シャープのセットコンポの不調により始まったオーディオ更新企画はスピーカー、CDレシーバー、レコードプレイヤーと来て、細かいところに至り始めました。今回はレコードプレイヤーのカートリッジを変えた話です。

 

購入したTEACのTN-350はとてもよいレコードプレイヤーでした。Amazonで9,000円というオーテクの入門プレイヤーからは明らかに音がかわったと思います。霞が晴れて透明感が出たし、天井も高くなりました。紅茶にざらめ砂糖を溶かしていたのが、粉砂糖になった感じがします。

 

上を見たらキリがないけど、ラックスマンの音なんて一度聞いてみたい気はするけど、僕にとって価格的にここがベストであり、それを含めてとてもよいレコードプレイヤーだと思います。3万円でこの質のものがあるのがちょうどよい。ちょうどよいってすごくよいね!

 

まずデザインは本当によい。モノとして愛着が湧くかというのは、僕は耐久消費財にはとても大事な観点だと思うのです。アームやスイッチにもさほど安っぽさはありません。まぁアームレバーは明らかにちゃちいけど、他がこれくらいよいなら許す!

 

回転の感じもすこし上質な感じになりました。分かるもんなんですね、そんな違い。精度はそこまで高くなさそうですが針圧調整もできるし、ユニバーサルアームなのでカートリッジも替えられます。

 

そう、カートリッジが替えられるのです。レコードプレイヤーをいじる上で最も音が変わるといわれるカートリッジ交換ができるのです。やってみたい!デフォルトのものからカートリッジ交換してみたい!

 

カートリッジ交換の問題点

かくして交換カートリッジを探し始めたのですが、調べてからカートリッジ交換には制限があることを知ります。アームに付けられるカートリッジの重さには上限があるのですね。調べてみたらTN-350のアームへの適正質量は16.5gとのこと。デフォルトでついているヘッドシェルとカートリッジが10gと6.5gなので、デフォルトのより重いものは付けられない!

 

マジかとは思いました。割と選択肢が狭まるんじゃない?と思いました。デフォルトのカートリッジはメーカーのマークこそ消されているものの、TN-350のHPでも公表されているようにオーディオテクニカのAT95E相当のもので間違いなく、決して悪いものじゃないと思います。なんなら替える意味あるんかなとも思いました。

 

でも憧れとはそういうものではないですね。カートリッジを替えてみて音が変わる経験も大事だけど、まずカートリッジを替えるという経験自体をしてみたい。それによりなおのこと自分で組んだこの一式に愛着が湧くことも間違いありません。ここで「じゃあべつにいっか」となるならそれはそれでもよかったのですが、そうはならなかったので「ほないこか!」と憧れに向かって頑張って探すことにしました。

 

オルトフォン 2M Redを買ってみた

初のカートリッジ交換にあんまり高いお金を出すのもあれなのでという思いもあり、価格は1万円台で最初から考えてました。なんなら候補は1つに決まっていて、オルトフォンの2MシリーズのRed、これが前から欲しかった。梅田のヨドバシカメラで貰ってきたオーディオ雑誌でオルトフォン100周年が特集されていて、デザインもカッコよいしモノも良さげだし値段も手頃でええやんと思っていたのです。

 

Redのカートリッジ自体の重さは7.2g、いまのカートリッジは10gあるので上限の16.5gを超過します。ならばヘッドシェルを替えてそちらで減量するしかありません。探してみたらオルトフォンのSH4シリーズというヘッドシェルが自重9.3gとのことで ジャスト16.5gです。するすると決まっていく感じ、なんていい流れ!

 

しかも、限定モデルとしてSH4の赤塗装(通常は銀、黒、青、桃)と2M Redがセットになったものが出ているようです。https://www.ortofon.jp/news/48?category=0

2017年7月に出たものと聞いたのでまだあるかなぁと不安ながらに探したら、新宿のヨドバシに在庫があったようで、無事に入手できました。 届いた小さな箱には他とは違う真っ赤なヘッドシェルがついた2M Redが入っていました。あとは箱の「オルトフォンジャパン」のフォントがすこしレトロで可愛くてよいですね。なぜがNikonミュージアムに行った時のことを連想しました。アルミ削り出しヘッドシェルの質感もなかなかで、思っていたより上等品に見えます。

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早速ヘッドシェルごと付け替えて聴いてみました。何度か交換して思ったけど、これカートリッジだけの交換となるとクソ面倒くさかったと思うので、丸々付け替えの体制にしてよかったとも思っています。付け替えがめんどくさくて結局使わないなら意味ないですものね。

 

音は確かに違います。どちらがよいかという評価は残念ながらまだ僕の耳では出来ていませんが、デフォルトのAT95E相当品よりは力があって、針が拾う音が空気を震わせている感じがします。現に、盤の曲中に針を落とすと、一瞬溝の振動が指に伝わるのですが、その震えがAT95Eとは違います。指の先でルルルルル!ってヘッドシェルの爪が震えるのが伝わるのです。これは楽しい。

 

AT95Eのほうが部屋は広くて、音も素直な気はします。良い意味でCDみたいな明らかさがあって、開発者というかメーカーの情みたいなものは2M Redの方がある感じです。別売で買ったから気のせいかもしれないけれど、これが本当ならAT95Eはデフォルトで付けておくカートリッジとしては最高なのではないかとも思いました。なんせニュートラルな中庸な音から始められるのだから、入門編にはよいですよね。

 

2M Redの購入を通してデフォルトのカートリッジの良さにも気づいた気がします。あぁ、やっぱり、買ってよかった!僕みたいな初心者へ広くオススメできると思います。

 

余談ですが、さきほど上にSH4-Rと2M Redセットの公式HPを貼って、「取付ネジ込み17.0g」と書いてあるのに初めて気づきました。0.5g超過しとるやんけ!カートリッジとヘッドシェルそれぞれの単純な足し算じゃダメだったんでしょうか。まぁもうええか…。頑張れトーンアームということで、本日はおしまいといたします。

 

やっと買ったスピーカーとアンプ

勝者はスピーカーDALI Zensor3とCDレシーバーDENON RCD-M41

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すこし前になってしまったけれど、引っ越しに際してオーディオ機器をワンランクアップさせる企画、とうとう購入に踏み切りました。

 

店に通うことのべ5回、「今日こそ買う!」と決めて行ったその日も店で2時間以上迷うというグズつきっぷりだったけど、とにもかくにも決めたのです。DALIのスピーカーとDENONのCDレシーバーに。

 

スピーカー選びはB&Wの686S2 対 DALIのZensor3

さぁ今日こそ買うぞと決めた頂上決戦の日、候補に残っていたスピーカーは3つあった。B&Wの686S2と、DALIのZensor1、それからZensor3です。

 

この3つに絞って聞き比べをした時、まずはZensor1が脱落していきました。店員さんには最後までZensor1のバランスの良さを勧められたけど、Zensor3の音の太さと低音の余裕に負けてしまったな。確かにZensor1はその価格帯では断トツに音が良くて、モニターすぎる感じもなく過ぎた飾り気もなく、本当によいスピーカーだと思います。「これで十分いいや!」っていう人もいると思う。Amazonのレビューがよいのも頷ける。ただ僕は、低音がすこしさみしいというか、疎になっている感じがして妥協できませんでした。高校時代にチューバを吹いて以来、低音を欲しがる耳であるのが理由かもしれないな。

 

ずっと決めきらなかった686S2とZensor3

Zensor1が脱落していった後、大変だったのはその先でした。686S2とZensor3がいつまで経っても決められない。解像度は686S2のほうが高く、よいスピーカー感がありました。フロントバズレフなぶん、低音もはっきりと飛んでくる。なにより686S2はちょうどよいサイズです。Zensor3はこの前も書いたけど本当に大きい。部屋が小さい僕にはそのわずか3,4cmの差がめちゃくちゃにキツいボトルネックでした。

 

一方で丸みというか優しさはZensor3のほうがあって低音の量感もよく、僕がメインに聴くアナログレコード音源はこっちのほうがよいかもなという気もありました。デザインは好みだし、比較的安いし、686S2のように入荷1ヶ月待ちの状態でもなかった。やはりデカさだけが問題でした。

 

アンプを決めたらスピーカーが決まった

では結局いかにしてZensor3に落ち着いたかというと、最終的にはアンプ側の都合でありました。まぁ部屋が狭いのでアンプといってもCDプレイヤーと一体型のレシーバーなのだけど。アンプ候補として迷っていたマランツのM-CR611とデノンのRCD-M41だが、結局はデノンを選ぶことにしました。マランツはパワーもあり、回路もオーディオ然としていて音質にもかなりの期待が持てました。ただ、たぶん僕は使わないだろうネットワークオーディオ対応機能のおかげで値段は張るし、CP搭載のために立ち上がりと立ち下げに時間がかかる。動作もモッサリと重たい。CDトレイの不具合も多いらしいです。

 

一方のRCD-M41はコンパクトだし安いし、余計な機能がついていない。2017年発売でM-CR611よりも新しい。僕はCDとアナログ入力とBluetooth接続があれば必要十分なのです。筐体は金属で高級感もあり、アナログアンプであるのも興味がある。そんなこんなを理由にCDレシーバーはDENONのRCD-M41にしたのでした。

 

となると問題になるのは、アンプのパワーでした。店員3人をつかまえて聞きましたが、RCD-M41ではB&Wの686S2は鳴らしきらんだろうという話だったのです。なんでもツイーターが金属製のため、アンプにはもっとパワーがあるものがオススメらしく。一方のZensor3は樹脂コーンのツイーターです。アンプに負荷をかけないのでどんなスピーカーでもよく鳴りますというのは公式HPも謳っていました。たしかに金属のほうが分子として運動させるのにたくさんの力がいるので、現実に「パワー不足で鳴らしきらない」ということはあるのかもしれないな。結局これが決め手となりました。

 

 686S2はチョー魅力的なのだけど、これを買うとお値段が張り、動作も重たいM-CR611がセットになってしまいます。DENONで決めるならスピーカーはZensor3です。メーカーもこの組み合わせを推奨している。決まりである。あぁ長かった…。

 

次は色えらび

 

さてあとは消化試合です。まずは色選び。Zensor3は2色展開であり、優しい茶色のウォールナットとクールな黒のブラックです。正直ここでもまたちょっと迷いました。「よい色だなー」と思うのはウォールナットのほうで、台と色が合いそうです。色合いのおかげで軽く見える。

 

一方の黒は締まったクールな印象だ。サランネットと箱の色が同じなので、色の継ぎ目が分断して見えず、すこしウォールナットより小さく見えます。色で感じる錯覚なんて気のせいの上にあるものではないかと意見もあるが、塗装で音が変わるという話もあるので僕はおろそかにしてよい話だとは思いません。金管楽器は金ラッカーか銀ラッカーで音が変わるし、つや消しなんて加工もあるじゃないか。当然、弦楽器もそうなんじゃないだろうか。だとしたら、同じく“鳴る木の箱 ”であるスピーカーが影響を受けないはずがない。調べてみると音の輪郭は黒のほうが出るという意見があるようでした。

 

結局は686S2に憧れた音の輪郭を求めて、またすこしでも小さく見えることを祈って、ブラックを選びました。後日部屋に届いた実物を見て、RCD-M41も黒だしとても満足しています。かっちょよい。

 

スピーカーケーブル選び

 

最後にCDレシーバーとスピーカーを繋ぐケーブルを選ぶことになりました。そうか、単体コンポあたりになってくるとスピーカーケーブルも別売りで自分で選ぶのかと、ちょっと大人になった気分がしました。とは言いつつも、ここはまったくお金をかけませんでしたね。たぶん僕の耳では分からんなという確信があったのと、逆にわかっちゃったらこの先がヤバそうだったからです。

 

ぼくが初めてオーディオに触れたのは吉祥寺の有名ジャズ喫茶メグで参加したイベントでした。サークルのOBの先輩がオンラインレコードショップをやっていて、そのレコード布教企画かなんかに参加したのだけど、いま思うとあれがいろいろなきっかけで、あとたぶん頂点でもあります。あんな環境で音楽を聴くことは普通はありません。なんなら生音より金がかかっているんじゃないか。もう数字はうろ覚えなのだけど、たしかレコードプレイヤーとアンプを繋ぐ線が1m足らずで何十万円とか言っていました。意味不明。オーナーの寺島さんはトロンボーンを吹くらしく、僕も当時トロンボーンを吹いていたのでちょっとお話をすることが出来ましたが、いろんなオーディオ関連の本を見ているとけっこう名前をお見かけするので、すごい人だったんだなと見るたびに思います。いや〜ようやらんなぁ。

 

でも、あの時に赤いスーザフォンみたいなスピーカーから聴こえたビートルズは一生忘れられないと思います。なんせレコードに針を落としたら、自分とスピーカーの間に視覚的に音がタテヨコに並んだのです。リンゴがここ、ジョンはここで、ポールとジョージがここで、と指を指すことが出来そうでした。

 

聴いたのはPlease Please MeのAP8675、1969年プレスの日本盤です。UK盤とはジャケ違いで、俗に言う“初期擬似ステレオ盤”でした。「泣き別れステレオ」ともいわれ、左右で完全にセパレートされた歌と楽器は、携帯音楽プレイヤー時代の現代では非常に不評です。僕もあまり好きではありません。ビートルズはスピーカー以外ではあまり聴かないのだけど、それでも好きではありません。2007年のステレオリマスター盤発売時にアップルの公式ビートルズ音源はステレオ音源とされ、「泣き別れステレオ」が公式音源として認められることになりましたが、意味不明です。初期はやっぱモノラルだろ!

 

話がそれましたが、擬似とはいえステレオ音源であったのは、耳を貫くように素晴らしい解像度のシステムでかけるにはよい音楽であったのかもしれません。そのおかげで僕は生まれて初めて音を視覚的に認知するに至り、CDよりレコードを買うようになり、そしていまちょっとだけよい音楽再生環境に手を出すに至ったのであります。

 

インシュレーター選び

最後はインシュレーター選びだが、結論からいうとこれは買いませんでした。スピーカーを買ったら10円玉インシュレータは卒業しようと思っていたのですが、いっぺんに全部を変えてしまうと音の違いがわかりません。半年前カメラを買い換えた時に、本体とレンズを一緒に変えたらどっちのおかげでどう写りが変わったのかわからなかったのでその反省です。変数を減らしてどの変化が何によるものなのかを味わいたい。レコードプレイヤーを後から替えることにしたのもそのためです。あとフィルムカメラ用のモルトと10円玉で自作したインシュレーターが割と優秀な気がしているのもあるかな。

 

結論、僕は満足です

スピーカーとアンプをいっぺんに変えてる時点ですでにダメな気もするが、こんなもんは最初から気のせいの上にあるものです。自分が気のすむようにやれば幸せなのです。。スピーカーやアンプの音なんて好みであり、ケーブルやインシュレーターによる違いなんてのは僕みたいな初心者にとっては誤差のようなものでかもしれません。インシュレーターを置くよりスピーカーの場所や向きを変える方がはるかに音が変わるよと言う人がいるが、まじホントおっしゃる通りだと思います。、

 

自分で作ってみたシステムで幸せになれるならそれでよいのです。金をかけて幸せが大きくなるならお金をかけるし、色々と試してみたらよいのです。スピーカーのエイジングはまだまだで、これから鳴らし込んでいこうという過程ですが、すでに前のセットコンポより音は良いわけで。まだ音が良くなると思うと今後が楽しみです。

 

今日は東京にいましたが、実家には寄らずに早く神戸に帰ってプレイヤーの電源を入れることにしました。ちゃんと幸せになったので、僕の買い替えは大成功なんじゃないでしょうか。

レコードプレイヤー選び

TEACのレコードプレイヤーが欲しい

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あけましておめでとうございます。

平成30年になってしまいましたが、前回のオーディオ沼に爪先を踏み入れてみる話の続きです。

 

引越しを控え、ちょっと部屋が広くなるのを契機に、10年選手であるシャープのセット売りコンポを卒業しようというこの企画。

 

1番選ぶのに苦労をしなかったのはレコードプレイヤーだと思う。結論としてはTEACのTN-350-CH、これが欲しい!

 

TEACのTN-350-CHを選んだ理由

 

条件としてはまず今のプレイヤーより良いものであること、カートリッジ交換が出来ること、そしてオートリターン機能が付いていないこと。

 

今のプレイヤーは上の写真のとおり、オーディオテクニカのAT-PL300というオーテクで最も廉価な機種で、アマゾンで8,800円というコスパ抜群モデル。僕の周りもみんな持っていて、アナログレコード入門にはこれだろうと今でも思っている。同価格帯にあるDENONのものと聴き比べをしたわけではないけど、中身はほぼ同じと聞いたことがあるので、大きな差はないのだろうな。

 

カートリッジ交換がしたい

ただこのAT-PL300はカートリッジ交換が出来ない。レコードはカートリッジ交換で音が変わるのが面白いとサークルOBのおじさまから散々聞かされているので、カートリッジ交換はいつかやりたいとずっと思っている。だからカートリッジ交換可能は大事な要素だった。

 

具体的にはオルトフォンの2M Redが欲しい。オルトフォンの入門カートリッジという感じだけど、オーテク以外のカートリッジを使うというのが凝ってるぽくて憧れる。憧れだなんてもはや音質の話ではなくなってしまうけど、趣味には憧れというものも大事なのである。

 

オートリターン機能はいらない

あともう1つの条件はオートリターン機能が“ついていないこと”である。オートリターンが無いと不便だという人もいるが、僕は無いものが欲しい。もちろん、なぜわざわざオートリターンがついていないものを求めているのかというのにはちゃんとわけがある。

 

まずはアームの設計限界の話。オートリターン機能をつけるにはアームに可動部分を仕込む必要があって、どうしてもパーツに設計限界が出来てしまう。振動や音の伝導を考えると、余計な機構はないほうがたぶん音はよかろうというのが理由の1つだ。

 

もう1つはオートリターン機能付ではちゃんと聞けないアルバムを持っていること。実はこっちのほうが理由としては大きいかもしれない。そう、ビートルズ好きなら外せないSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandである。

 

サイケ全開の壮大なコンセプトアルバム(メンバーは否定したりもしたけど)の最後を締めくくるド名曲「A Day in The Life」の最後には、ご存知のとおりいろんな仕掛けがある。

 

たとえばオーケストラとピアノが鳴らす最後のガーーンの和音の後にはヒトの耳では聞こえない高周波の音が入り、その後には意味不明のセリフが延々と繰り返される。

 

1987年にデジタルリマスターしてCD化された時、高周波の音はCDだとそもそも技術的に切り落とされてしまうので、聞こえるようにいじられたらしい。学生になってLPでビートルズを聴くようになってから、あのノイズが聞こえないなと思っていたら、レコードでは聞こえないのが正解だったのだ。

 

ちなみに2018年1月のANAの機内誌にあるワインのページ(伊丹から羽田に向かう機内でちょうどいま見つけた)。毎月ひたすらワインの話をしているこの枠が、今月はスケアクロウという赤ワインを紹介しているが、ワインの風味が偶然にもビートルズのA Day in The Lifeをたとえにして紹介されている。

 

『タンニンがソフトで複雑、フィニッシュが長いもの。「喩えるならビートルズのA Day in The Lifeという曲のラスト。最後の音がピアノで45秒ほど続く、あの余韻を思い描いているの」。』あのガーーンンンンの響きを聴きながら飲む赤ワイン、ちょっと興味ありますね…。

 

話が逸れたがオートリターン云々の話に関係あるのは高周波音ではなくて、その後の意味不明なおしゃべりのループのほうである。レコードの1番内側の溝に刻まれたそのおしゃべりは「ネバクルセハニ、オホホ!ネバクルセハニ、オホホ!…」と僕には聞こえるが、ウィキペディアによると「Hahaha, I never could see any other way,never could see any other way」の繰り返しらしい。

 

このループ(インナーグルーブといいます)が、オートリターン機能が付いてしまっていると聞けないのです。その部分に来ると途中で針が上がってしまい、送り溝まで針が行かない。困る。ビートルズが仕掛けた音が聞けない。

 

しかも、先日サニーデイ・サービスのライブ「Dance to The Popcorn City」に行って、ようやっとフィジカルで発売されたポップコーンバラッドのLPアルバムを買って聴いていると、これもDisc2に終わりがけに半端で針が上がる曲がある。あやしい。これもあやしいぞ。しかもビートルズホワイトアルバムを意識したというこの2枚組LP。これにもインナーグルーブが隠されてるのでは?確かめたい気持ちが興ってしまった。オートリターン機能はやはり邪魔なのである。

 

あとオシャレだよねTeacのコレ

最後はレコードオシャレだよね文化にゴキブリホイホイされたようで癪だけど、このプレイヤーは洒落ていると思う。あまり場所を取りたくないなか、オーテクの最新機種AT-LP5のようにでかすぎもせず、フォノイコライザー別売で配線が増えることもなく、値段もちょうどよさがすごい。

 

そもそもTN-350-CH自体も、カートリッジはオーディオテクニカAT100E相当のもの、フォノイコライザー新日本無線製の高精度オペアンプらしく、性能には定評があるそうだ。このあたりは製品HPを見ればいくらでも書いてあるので割愛しますが。

 

かくしてまったく迷わなかったレコードプレイヤー選びでした。

 

 

チミチミ下書きを書いてる間にとうとう昨日、CDレシーバーとスピーカーを購入に至りました。昨日も買うまでお店に3時間近くいた気がするので、結論をまたレポートさせていただきたいと思います。

 

オーディオ初心者の悩み

セットコンポ以上ピュアオーディオ未満で考えるマランツM-CR611とデノンD-M41

 

シャープの1bitデジタルアンプからの乗り換え

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10年以上使っているシャープのミニコンポの動作が怪しくなってきた。CDを開けるボタンを押すにはコツがいるし、スイッチを押したのに電源が落ちないことも稀にある。

 

このシャープ(てかシャープって音響機器やってたんですね)のSD-GX2というミニコンポがたぶんきっとそんなに音は悪くはないやつで、1bitデジタルアンプシステムとやらで原音再生は割と頑張っていた機種らしい。

 

素のプレーンな音では物足りないけど、イコライザをいじってBassBoostをかけてとやれば、CDでもアナログレコードでも満足できる音を鳴らしてくれていた。こうなるともう原音に忠実かはよく分からないけど、この音で僕は育ってきた。

 

あと昔懐かしのMDをかけることも出来る。なんせうちではMDもまだ現役なのである。これも買い替えをしてこなかった理由だけど、動作不良とあればそろそろさすがにと思って、家電量販店に足を運んでみた。予算は10万円。

 

ちなみに最初の写真はうちではなく、ある貸し別荘にミニコンポを持ち込んだ時のものです。こんないい家には住んでないので念のため!

 

アンプとスピーカー選び

そういえば引っ越しも控えているし、これを機に買い替えを検討し始めて1ヶ月。そう、もう1ヶ月。お店に足を運ぶこと4回、いまだに決めきれずにいる…。

まずお店に行って思ったのは、やっぱりいま使っているセットコンポよりみんなよい音がするということ。そりゃ値段が違うので当たり前なのだけど、バンドをやりジャズ喫茶で遊び内輪DJイベントなんてのをやってる間に少しは耳もよくなったらしい。俄然買い換える気が湧いた。音楽が楽しい!

 

ただ、こういうのを決めるのは苦手だ。カメラは祖父も父もNikon党だったので、レンズ資産の関係で他に選択肢がなかったけど今回は違う。たくさんのレビューなんかを読みつつも、結局こんなもんは好みと出会いとタイミングである。

 

アンプは何か、スピーカーは何か、レコードプレイヤーは何かを考え続け、空いてる時間はそのことばかり気になって、なんならもう疲れてしまったんだな…。「いちおうここまでは絞った!」を書きたいと思います。

 

アンプはマランツかデノン

正直ここは好みというか場所や値段の制約で決まってしまった。部屋が狭いのでアンプとCDプレイヤーは一体型。Bluetooth対応。アナログ入力端子あり。で考えていくと浮かんできた候補は以下の2つ。

 

マランツ、M-CR611

こいつと後述のB&Wの686S2というスピーカーを視聴したのが買い替え動機の発端だった。なんせ音がよかった。力もあるし、バイアンプ対応の慣らし分けには興味がある。ネットワーク対応というのも面白いし便利そうだ。これからの音楽ライフという感じ。

 

この前サニーデイサービスのライブで、配信限定リリースだった曲たちを聞かないで行ったら浦島太郎になってしまったので、Spotifyに興味があるのです。

 

デメリットとしてはちょいと高いのと、ネットワーク機能は果たして使うのかという疑問があること。ネットワークオーディオに興味ありと言っておきながらですが、いまレコード9割CD1割という生活でどこにネットワークオーディオを入れるねんとは思う。それを思うと高いし…ということで、踏み切れず。

 

デノン、D-M41

機能はシンプル。マストで欲しいCDとアナログ入力とBluetoothを満たしていて機能に無駄がない。少し非力かもしれないし、高効率のデジタルアンプではないけど、デザインはマランツM-CR611より高級感があって好みだ。サイズも手頃。何より安い。浮いた金でレコードのカートリッジを買ってみたい。なんせ2万円も浮く。

 

いまやマランツとデノンは同じ会社なので、ぶつからないように棲み分けして廉価版にしてあるというか、少し手が抜いてあるのだろうけど、視聴しても音に2万円分の差は感じられない。

 

デメリットは今後先に買うかもしれないスピーカーを鳴らし切れないかもなというのと、ネットワーク非対応ということ。ネットワーク対応でなくともよいとか言いながら、あればあるで興味があるのだから呆れる。人間は罪深い。

 

スピーカーはB&WかDALI

オーディオ機器で1番金をかけるべきなのはスピーカーらしい。精密機械であるアンプやプレイヤーより空き箱かよ!とは思いつつも、楽器も発音するアンプが大事というよね。そもそも楽器だとエレアコなんかも機械の部分より木や箱のつくりが値段の源なので分かる気はする。

 

これは梅田のヨドバシにマランツM-CR611にいろいろなスピーカーが繋いであって、聴き比べが出来るコーナーがあったので楽しく選べた。 結論としては、B&Wの686S2かDALIのZensor3が欲しい、である。

 

B&W、686S2

B&Wはアビーロードスタジオにあるという憧れがビートルズ好きとしてはある。60年代には設置されてなかったらしいので、彼らはそのスピーカーで聴いていないかもしれないが、アビーロードスタジオで再リミックスされたMonoBoxやその他の作品はB&Wのスピーカーで聴かれているはず。

 

アビーロードのスタジオモニター用スピーカーと686S2じゃ富士山と砂場の山くらい違うというツッコミがあるだろうけど、健気な憧れなのでどうかご容赦ください。

 

音はキラキラ系できらびやかでクリアで、聴いた中では解像度が1番高かった。バズレフが前にあるので低音もちゃんと飛んできてよかったかな。ロックもいいけどクラシックならチャイコフスキーベルリオーズなんかも聴きたい。

 

デメリットはなんだったかの部品(ツイーター?)が金属製らしく、ちょっとキラキラすぎた感じはある。DALIなんかと比べるとチャラさがあるのかもしれない。あとやっぱり高い。

 

DALI、Zensor3

最初は売り場に並んでいたZensor1という、Zensor3よりは1つ格が落ちるスピーカーを見ていた。音色は好みだったけど、低音がさみしく音も細いことが不満で候補から外していた。

 

ただデザインも音も良かったので、低音が鳴るZensorは無いかなと思ったら、あるじゃないですかこいつが。Zensor3は音も厚く低音はちゃんと鳴る。音も好みでデザインもよく、値段もちょうどよい。上を見たらキリないし僕にはこれで申し分なし!

 

ではなんで買ってへんねんというと、Zensor3のサイズである。デカい。見た目の圧迫感は我慢できるとして、高さが問題。なんといまの棚に上がつかえて入らない。わずかな差なのだけど入らないものは入らないのだからこれは致命的。現状では部屋に置けないのだから、なかなかに思い切らなくては買えないスピーカーになってしまった。

 

安いし小さいしZensor1でええやんという自分もいるけど、低音の豊かさと豊かな箱鳴りを聴いてしまったのでもう手遅れ感がある。つらい、踏み切れない…。

 

その他のスピーカー

他にもいくつかスピーカーを試聴きはした。全て3万円〜7万円くらいのもので、商品の名前は忘れたけど、印象を書いてみます。

 

・モニターオーディオ

ブロンズというやつ。上の2つの次点はこいつだったかもしれない。とても実直硬質に聞こえて候補から外してしまった。好みの問題でコスパにも優れたいいスピーカーですね。

YAMAHA

日本人としてありだと思ってたのだけど、めっちゃ素直で優等生でバランスよすぎて候補から外した。これも好みの問題。よいスピーカーでした。

JBL

低音が1番像として見えたスピーカー。ジャズ向きという評価をよく見たけど、つまりはコントラバス向きだと思う。チューバやバスクラリネットの音なんかは音が厚くて丸いZensorのほうがよさげだけど、太い弦が鳴る音の輪郭は1番見えてきそうな気がしたかな。

 

最後の2択

つらつらと書いてまいりましたが、結局は2択なのかなとは思っています。

マランツM-CR611×B&W686S2かデノンD-M41×Zensor3か。値段と大きさの問題のたすき掛けでよく分からないことになってきたけど、果たして結論は出せるのだろうか…。

 

アンプとスピーカー編おわり

そんなこんなでまだ結論が出せていないものをうだうだと書いてしまった。年内はもう仕事して飲んで実家に帰ったら終わりなので、また年明けから結論を考えることにして、こんどはすんなりと決まったレコードプレイヤー選び編を書きたいと思います。

 

残る写真と残らない写真

 残る写真と残らない写真の違い

 

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【写真考】

 

まだ少し先の話だけれど、引越しをすることになった。そこで書かなきゃ!と思ったのがこの“残らない写真”考。

 

引越しのどこら辺が写真と関係あるねんと言われると思うけど、ここから頑張って結びつけて書いていきますのでお付き合い願います。

 

残らない写真

 

 

まず残らない写真というのにもいくつかあると思う。

 1.そもそも写真を撮らない

  「そもそも写真を撮らない人」というのはもちろんいて、その人の周りの物事や風景はまず写真に残りにくい。

2.写真が拡散されない

  写真は撮るけれど自分のフォルダにあるのみで、SNSやHPに拡散することなく留め置かれるものは、その個人がいなくなったら残らない写真になる。ネガやプリントが残りやすかった銀塩フィルム時代と比べて、いまどきのデジタル時代写真は指紋やパスワードが無いアクセスできなかったりするのでなおさらではないかな。

3.写真が上手でない

  これは上記の2つとは次元が異なってしまうのだけど、書いておきたい。写真がどこかしらに拡散されると、当然上手い写真は多くの人に評価される。どこかで保存されるかも知れないし、「昨日いい写真をあげてはったな」と記憶に残るかもしれない。その一方で、僕のような甘アマが撮るような写真はタイムラインの河を流れてくだり、インターネットの海に沈むのみである...。

 

残る写真

 

 

逆にとても残る写真として、観光地や名所の写真というのがある。そもそも大勢の人が撮るし、上手い人も撮るし、ネットや書籍でガンガン拡散もされる。

 

夏前にじいちゃんが死んだ時にアルバムを整理していて、父親が子供の頃に奈良へ家族旅行に行っていたときの写真が出てきたのだけど、興福寺の光景がまったく変わっていなくてびっくりした。  

 

そりゃ1200年間そこにある興福寺からすれば50年くらい大した年月ではないのかもしれないけど、その間ずっと多くの写真に撮られて変わらない姿を見せてきたのだなと ちょっと感じ入ってしまった。興福寺だなんて超名所の写真は1.2.3.のどれの影響も受けないのだと思った。

 

もっとも残らない写真

ようやく引越しと写真の関係の話になりました。

上に書いた1と2の話、それから興福寺の話から考えて、じゃあ僕の思うもっとも残らない写真の1つは、“個人が住んでる部屋”なのではないかなというのがこの文章の始まりなのです。

 

引越しにあたって写真のことを考えたのもそれが理由で、いま住んでいるこの部屋はどこかに残るだろうかと考えると、これがやはり残らない。寮だから誰かが遊びに来て撮った写真もないし、僕個人の記憶の中にしか残らんやんけということに気づいたのです。

 

学生の頃、誰だったか教授が「観光名所の写真は多く史料があるけど、街の昔のそこらへんの姿はなかなか分からない」と言ってた話もこういうことなのかなと思う。

 

東京から神戸に帰ってきて住んだこの街この部屋は自分の中にしか残らない。 上には休日の午前中の部屋の壁のフィルム写真を貼りました。せめてあと2ヶ月、いま雰囲気いいなという瞬間くらいは残していきたいなと考えています。

立地だけはよいけど日当たりも悪く狭いこのボロ寮を。